僕の瞳に映るあなた
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いつもの僕らしくなく、今日は取り乱してしまった。
涼が先生に注意されていて、気になって視線を向けたら、たまたま涼と目が合った。
いつもだったら、そこで涼が微笑む筈なのに、あり得ない事に僕から目を反らした!
ショックだった――
今まで涼に無視された事なんかなかったのに。
やっぱり好きな人が出来たから、僕のこと嫌いになったの?
パニックに陥った僕は授業の事など、耳に入らなかった。
気が付いたらお昼になってて、先生に呼び止められた。
「美月。どうした? 具合でも悪いのか。珍しいな、お前が授業中にボンヤリしたなんて」
普段の僕は真面目な生徒だから、心配になったんだと思う。
「大丈夫です。だいぶ良くなりましたから」
「そうか、きつかったら我慢しないで保健室に行くんだぞ」
先生と別れて教室に戻ろうとした時、二年の女子が僕を呼び止めた。
「美月先輩、好きです! わたしと付き合って下さい」
また、告白された。
僕はお決まりの台詞を言う。
「御免ね、おれ好きな人がいるんだ」
今回の子はアッサリした子で「やっぱり駄目ですよね。先輩カッコイイし、彼女いると思ってました」と言ってスった。
まさか、涼が見ていたなんて、考えもしなかったんだ。
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