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おれたちの仕事は、いずれは流通までも掌握する、情報管理に繋がる道の第一歩だ。
例えそれがアダルトグッズを扱う事業だとしても、おれたちはプライドを持って、ビジネスシーンでの戦闘服ともいえるスーツに身を包んで出社した。
カジュアルな服装で仕事をする職員が圧倒的多数を占める中にあって、おれたちの存在は一種独特に見えたに違いない。
テストに入るとほぼ同時に脱ぐと分かっていても、それでもスーツは止めたくなかった。
それがおれたちのこだわりであり。また、スーツだからこそ燃えるんだ。
ストイックなはずのビジネススーツを脱ぐその仕草。
プレスの効いた真っ白いシャツが現れるその瞬間。
仕事への情熱と男の色気が匂い立つようで。
ひどく興奮させられる。
そんな楽しみくらい、残していたっていいだろう。
おれたちは戦いの中に身を投じた。
いずれは経済界に殴り込みをかけるために、少しの時間も無駄にする事無く、商品のテストとレポートに全力を傾けながら、手始めにアダルトグッズ市場全体の情報収集を開始した。
おれは、本当になりたかった自分を目指すんだ。
おれたちはここから始まる。
今に見ていろ。
絶対、天辺に立ってやる。
それまで、壊されないよう正気を保っていたい……とか。
わりと真剣に考えたおれ。
ビジネスはオフィスの外で
――終――
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