9 原点に戻って腑に落ちなくなってしまっても、それはもう後の祭りってやつで。おれは、ベッドに組み伏せられたまま、彫刻みたいな肉体美を誇る志信に見惚れてしまっていた。 けれど、太腿に当たる硬くて熱くてデカいものが、おれを不安にさせる。 こんなデカいの、おれに挿入るのか? 志信は、そんなおれの戸惑いに気付いたのか。もう一度キスを寄越して、甘い疼きでおれを骨抜きにした。 「おれに任せろ、渚。伊達に『特営』はやってない」 あ、まあ、そういう事なら……って、納得させられてしまうのは、相手がコイツだからなんだろう。 ローションが馴染んで抵抗が薄れた窄まりをじっくりと解されて、時折り悪戯を仕掛けるみたいに中の感じる部分を押されて快感が蓄積してゆく。 孔を解しながら拡張して、それだけじゃなくてキスまでもらって。 なんかもうこの甘い感覚が、おれを溺れさせようと企んでいるみたいだ。 熱い。 全身が熱くて、息が苦しい。 そんなおれの状態を察したのか、志信はおれの身体を横に向けて背中から抱きしめてきた。 「挿れるぞ」 背中側から耳元で囁く。 熱い息にくすぐられて、背筋がゾワリと粟立つ。 頷くと、宛がわれていた熱い塊が指先で拡げられた孔にゆっくりと忍び込んできた。 先端が挿入るだけでキチキチに拡げられてキツイと感じたけれど、思ったより抵抗が感じられなくて。 ローションの質がいいのか志信のテクなのかが分からないまま、ゆっくりと奥まで穿たれた肉に充たされて、おれは頭が真っ白になりかけた。 ねちねちとイヤらしい動きで前立腺の奥を擦って、弱く微かな力加減で突き上げる。 そこが快感を掴める場所だって知ってるのが悔しい。 焦れったいと感じるほどの引き加減の愛撫は、過ぎた快感だけをおれに寄越すから、不完全燃焼を起こして気が変になってしまいそうだ。 「……あぁあ…あ…あ、ああっ……んん…っ!ぅ…!」 息を乱すおれの太腿を撫でて、志信は項に吸い付いた。 そして、おれの硬くなったものに、オナホを被せてきた。 「や!……あぁ…ああっ! あぁあっ、や…あっ!めええ……やぁぁっ!」 「エロ……。メチャ感度いいな。すげ、締まる。やべえ」 なに楽しんでんだよ。 仕事なんだろこれ。 つか、二箇所いっぺんに責められたらおれはもうこれ以上持たない。 そんなに扱くな! 達く。 ……達くって! 「志信ぅ……やぁっあ……ぁあぁ!あああっ……ん…ん…、ん!ん……ん、達…っくぅう!出…っるぅううう!!もぉ、やぁっああっああっ…っ!!」 「渚……やべ……待て、待て!締めるな」 全身が痺れて頭が真っ白になった。 なにがなんだかもうどうにも自制なんか利かなくて、おれの中の何かが崩壊した。 それとともに、どくどくと脈打つような射精感に支配されたけど、オナホの口からは透明なさらりとした水っぽいモノがタラタラと流れ出してきて、快感に支配されたままのおれは、自分に何が起こっているのか分からない。 防水シーツの上を流れる体液の正体もわからない。 けど、志信は訳知り様で、おれのモノをオナホの上から扱くのを止めない。 「や……もう、もう……っううぅぅぅ……許……っしぃ…ってぇえ!」 しばらく責め続けられてから快感の第二波が来た。 更に強い興奮がおれの正気を攫う。 それでも腹の中からの刺激は止めてもらえないし、オナホはおれの股間で上下し続ける。 「許し…てえええぇ! や……ぁぁぁ…あ…ぁ…あぁ…っ!ぁぁ…っ!」 「渚……気持ちいいか?」 快感が止まらない。 苦しい。 辛い。 達きたい。 達きたい! 達かせて! [*前へ][次へ#] |