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 ちょっっ!な……。ええっっ?

 迷いなくおれを煽り立てる熱いキスは、のっけからディープすぎて現実を忘れさせる。
 舌の根まで絡んで舐めて。首筋を冷たく走る快感に、否応なく興奮させられる。

 やばい。やばいやばい!

 好すぎて勃ってきた。
 なんだよこの強引な遣り口。気持ちいいじゃないかよチクショウ!

「んぅ……は、あ……」

 唇が解放されてから、そのままおれの項をなぞるように舌が這う。おれの口からは思わず声が漏れた。

「エロい声。……なあ、『渚』って呼んでいいか?」

 キスが更に滑り落ちる。その先を拓くように、ネクタイを緩めてシャツのボタンを外す。
 いきなり仕事スイッチが入った『特営』の青幡は手馴れていて、躊躇いなんて微塵も感じさせない。

 テクは最高。
 おれは久しぶりに抱かれる快感を思い出してしまった。

 だけど、コイツは同僚で、ここは接待の席じゃない。

「いい。けど……青幡……」

「おれは『志信(しのぶ)』」

 乳首を舌で捏ねられて吸われて、股間を直撃されたみたいにメチャメチャ感じてしまう。

「あ……あ、あ、志信……やあ」

 ベルトの金具を器用に外して、下着の上から臨戦態勢になっていたおれ自身をやわやわと擦る。
 もうそれだけで骨抜きにされてしまって、気付けば全裸のおれ。

 なにこの躊躇いのなさ。……つかテストは?商品のテストが本題じゃなかったの?

 志信はキスをしながら服を脱いでいく。
 本当に微塵も躊躇わずにあっという間に全裸だ。
 シャワーも浴びてないおれの全身を舐めるコイツは嫌じゃないのか。

「や……きたない、から」

 既にフェラチオでぬるぬるにされたおれ。
 なのにまだコイツは余裕で、そのままキスで返してきた。

「『特営』の身体だ。汚い訳ないだろう」

 抱きしめるコイツは、本気でそう思ってるのかな。
 つか、おまえだって『特営』じゃん。
 自分に絶対の自信があって。
 同じ職種だったおれにまで信頼を寄越してくれているようで。なんだかくすぐったい。

 ……で、ちょっと冷たい。

 これ、ローションだよな。
 ……つか、ローションの使用方法のどれを選択する気なんだろう。

 ああ……。野暮な事考えてんなぁおれ。

 おれの孔に指を突っ込んでるコイツは、なんかもうやる気満々じゃないか。

 で、冷たくて濡れてる感じのこれが例のローションなんだろうな。

「志信……。志信」

 おれは伝えたいことがあって抱きついた。
 志信は手を止めておれに耳を傾ける。

「……おれ、半年以上、してないから。つか、そっちの経験なんて片手で足りるくらいしかない」

 改めて打ち明けたおれ情報。志信は驚いたようにおれの身体をシーツに押し付けて、おれを見下ろした。

「本当か?」

「本当。おれ『特営』っても、アブノなプレイ専門みたいだったから……」

 おれの告白を聞いて、意外そうなカオをする。

 そして、しばらくおれの顔を眺めてから、艶っぽい笑顔でおれの名を呼んだ。

「渚」

「なに?」

「おれが開発していいのか?」

 カナリア狙ってる猫みたいなカオしやがって。
 と言うかもう、ひとの答えを聞く前からやる気だし。
 なんでそんなに嬉しいんだってツッコミたくなるほどの笑顔を見せる。

 それが、なんだかくすぐったい。

「仕事の、うちなら」

「仕事。おれたちが抜擢された企画ってのが、男のセックスライフサポートプロジェクトと言うらしい。おれたちは、男の性生活を向上させるのが仕事だ」

 え?……なんで男限定?

 理解しかねているおれを、志信は笑う。

「露田商事の性用品販売は、主に男性寄りの事業だから男のおれたちが選ばれた。単純な理由だ」

 まあ、ローションにオナホだし。
 シーツの意味はまたちょっと違うような気がするけど。

「男のオナニーライフサポートっつー方がピンとくる」

「オナニー限定ではないみたいだが……」

 志信はくすくす笑って、また当たり前みたいにキスを落としてくる。

 なにこれ。なんでこんないい感じの雰囲気になっちゃってんの。
 っていうか、これからおれコイツに抱かれちゃったりするんだ。

 あれ?……なんで。おれがやられる方になったんだろう。



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あきゅろす。
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