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秘する花 誘う蜜
端1





 週末の夜。咲希は再びオフィスを訪れた。
 時間をおいて考えて、それでも契約を続けたいと申し出た。

 その日は魁もオフィスに残っていた。

 いつもは写真家たちやモデルたちと享楽的に過ごす週末を、オフィスで過ごすのは仕事以外では有り得ない。

 やってきた咲希を紹介すると、嫌でなければカメラテストも兼ねたい……と、魁は予想通りに申し出た。
 魁は多分、咲希の資質に興味を抱いている。
 わたしはそう確信した。

 わたしはこの日のために、咲希の全身を飾るに相応しい太さの縄を新調した。
 デザイン会社を経営する友人の工場を借りて、何度も煮詰めて柔らかくしなやかに仕上げて。けばを焼き、蜜蝋を丹念に塗り込んで、最高の肌触りを造り上げた。

――咲希が気に入ってくれたらいい

 そう願う自分の心情が不思議だ。
 それが『惚れた』ということなのだろうか……と、ふと考えた。



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あきゅろす。
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