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Dear heart
めぐりあい 1





静まり返った深夜の事務室に、突然電話の呼び出し音が鳴り響いた。

受話器を取ると、その向こうから、淡々とした口調の男が情報を伝えて来た。

「─こちら東区救急隊です。患者の受け入れ確認をお願いします」



──来た



緒方は緊張してそれを受けた。

「──……ミツハルさん61歳。そちらに通院されている患者さんで、胸苦を訴えられています。今、患者さんを収容しましたので、10分ほどで到着します」

受話器の向こうから、微かにサイレンの音が聞こえる。

揺らぐ救急車の雑音までが聞こえてきて、緊張感が伝わってくる。

それは、つい先刻、夜勤の看護師から情報が入っていた患者の受け入れ確認だった。

緒方は的確に応答した。

「わかりました。救急玄関から入ってきてください。そのまま、救急外来へお願いします」

「よろしくお願いします」

通話の途絶えた受話器を置いてから、ポケットの携帯を取り出してコールする。
外来の夜勤看護師に確認事項を伝え、到着を待った。





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あきゅろす。
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