Dear heart めぐりあい11 しばらくして、緒方の携帯が鳴った。 「はい。医事当直、緒方です」 「寺崎です。今の電話の人ね……」 「あ…はい」 「救急車で来るから、到着したら連絡ちょうだい。けっこう切迫してるんで、迎えに出るから」 「分かりました」 到着時に寺崎がいてくれるとは有り難い。 緒方は安心して携帯を切った。 救急車で来院する患者を迎えるのも未だにひどく緊張する。 特に分娩となると、こんなケースは滅多に当たるものではないので、どうしていいかわからないのが現実だった。 その後、救急隊からの受け入れ確認が入った。 例の産婦を収容し、病院に向かっていると言う。 緒方は受け入れ可能である事を伝えて、救急玄関に車を回すように依頼した。 10分後に到着する。 緒方はそれを寺崎に伝えた。 [*前へ][次へ#] |