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Dear heart
めぐりあい7





「緒方くん。カルテ出して」

早朝の4時。
喘息の重積発作を起こした患者が、事前の連絡もなく直接来院した。

夜警からの連絡を受けて、患者を救急玄関まで迎えに来ていた市村が、車椅子で患者を搬送しながら、同様に救急玄関まで走ってきた緒方に診察券を手渡してきた。

相変わらず休む暇もない。

緒方は今夜の当直に入ってから、事務室と救急処置室を何度も往復している。

カルテを搬送して戻ると、また事務室の電話のベルが鳴っていた。

この呼び出し音は外線だ。

緒方は動悸を抱えて受話器を取った。

「お待たせしました。渓和会札幌病院です」

受話器の向こうからの返答はなく、荒い息遣いが聞こえてくる。

緒方は一瞬、いたずら電話だろうかと訝しんだが、自分は曲がりなりにも男なのだから、これはおかしいと思う。

そのうちに、それが女性のものであることが、その息遣いのところどころに混じる喘ぎ声によって分かってしまうと、緒方は真っ赤になって動揺した。

女性からのいたずら電話とは、なんて大胆な……と、思う。

しかし、今は病院の代表として対応しているため、それがいたずらかどうかを確認する必要があった。

官能的にも聞こえるが、苦しみに喘いでいるようでもある。

そういう声は結構紛らわしい。




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