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コンサルタント
Priceless12







あまりの興奮に気を失いそうになって、曽我はふっと全身を弛緩させて後ろに倒れかけて。
百瀬が慌てて手を伸ばして抱き寄せた。

「柊……」

弛緩した身体をキュッと抱きしめて、安心と歓びに浸る。

「柊」

熱の名残りに緩む赤い唇に、そっとくちづけを贈って熱い愛撫を与える。

体内にとどまる百瀬は、熱い徴で曽我を満たしたはずなのに、まだ熱を湛えていた。

「――柊」

何度もその名を口にして。
愛しさを伝える。

やがて、力を失ったような曽我の身体をシーツに落として、百瀬はその上に寄り添った。

顔を覗き込むと、赤い頬が目に入る。
困ったような表情で目を閉じる曽我の状態も、熱を失わないでいる事に気付いた。

「辛くない?」

「大丈夫」

「なら……。いい?」

「……うん」

とても直視出来ないとでも言いたげに視線をそらす曽我が可愛い。

あんなに大胆に責めて、奔放に愛した癖に。
媚薬の効果が薄れて、冷静になったのか……と思う。

それでも、欲は尽きなくて、互いが相手ならこんなにも欲しがって。

男でも女でもなく。
ただ、目の前の『この人』が好きなのだ……と気付いた。



痛みを与えただけの男を愛するなんて考えられない。

曽我は自分に同情してから、愛着を持ってくれた。
「君が自分以外の者を抱くのが嫌だ」と言ってくれた。

それが、実はたった一つの明快な真実なのだと、今なら確信できる。



百瀬は幸せに酔っていた。





愛してる





その短い言葉が含む感情の深さと広さは、例えようがない。



それを知って尚、ふたりはそれを口にする。



「愛してる」



百瀬が耳元にキスを寄せて囁く。

曽我はクスッと笑って首をすくめてから、百瀬の唇を探し当てて囁きと共にくちづけで返した。



――愛している



深く、深く、幾度もキスを重ねて。

互いを想う感情をかみしめるように。

キスと同じ数だけ、言葉で愛をつむぐ。




ただ一言だけの。
自分の全てを伝えて。





――――愛しているよ



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