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コンサルタント
夏宵花火 2





曽我と百瀬は、空白の時間を埋めてゆくのに忙しかった。

たった2ヶ月。

しかし、2ヶ月もの逢えない時間は辛くて、身を切られるような苦しみを経験した。

今、こうしていつでも逢える安心感を味わってしまうと。
また、突然逢えなくなるのが怖い……と、曽我は時々口にする。

その気持ちがよくわかる百瀬にとっては、曽我の甘えは決して不快ではない。

馴れてゆく程、堅固に自分を衛る壁を崩して、曽我は真の姿を見せてくれる。

百瀬にはそれが嬉しかった。

甘ったれで優柔不断で寂しがりやな本質は。
懇意にしている、ごく一部の者しか知らない。



物腰が柔らかく品のある医師。

清潔感とダンディズムあふれる生粋の二枚目。

それが、世を忍ぶ仮の姿だと知ったのは、再会して初めてデートした時からで。

きりがない後ろ向きスパイラルに巻き込まれ。
何度もきりもみして墜落しそうな心持ちになって、ようやく気付いた。

厄介な気質だと感じもしたが。
それが可愛いとも思えた。

後ろ向きな思考は大切なものを失うことを極端に怖がる曽我の心理から起因している。

本当は、百瀬を求めて止まない気持ちの裏返しなのだと知ってからは。

例え六歳も年上であろうと。
曽我は、百瀬にとっては、可愛くて堪らない恋人となった。



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あきゅろす。
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