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相応しい男
17





 パイロットスーツに着替えてハンガーにやってきた西奈は、ガイアスの機体が一機も無いことを知ってがっくりと拍子抜けしていた。
「もう何でもいいから。なにか使える機体はないのか?」
 メカニックマンに詰め寄る西奈は、ふとビームランチャーのユニットを見つけた。
「あれは何だ?」
「ガイアスのパワーランチャーです」
「ふーん」
 ふたたびカタパルト全体を見回すと、奥に整備が終了しているエルフの機体を見つけた。
「あれは?」
「ああ、被弾したんで帰艦してきた機体ですよ」
「パイロットは?」
「休んでます」
 西奈はニヤリと笑った。
「ずっと休んでいていいと伝えろ」
 西奈はエルフに向かって走り出した。
「え?西奈少尉……」
 メカニックマンたちは、突然ラダーを伝ってコックピットに乗り込んだ西奈を驚いて引きとめた。
「整備は済んでいるんだろう」
「そうですが、まだチェック中ですよ」
「十分だ。弾薬は?」
 エンジンを始動させてエルフの機体を立ち上がらせる。
「入ってますが、まだ完全とは言えないんですよ」
 キャノピーを締めてしまった西奈にメカニックマンが叫ぶ。西奈はハッチを閉じてインカムで返した。
「大丈夫だ。なんとかなる」
 エルフが歩きだして、パワーランチャーのユニットにアームを伸ばした。
 コネクターを接続してそれを担ぎ上げる。メカニックマンは驚いた。
「無理ですよ少尉!」
「インカムが入ってるんだ。怒鳴るなよ」
 西奈は耳を貸さない。
「そのランチャーのパワーは並じゃない。エルフの電力は一発で食い尽くされてしまう」
「それでも何機かは沈められる」
 エルフはカタパルトに向かって歩いて行く。
「どうやって還ってくるんですか!」
「誰かが拾ってくれるよ」
「少尉!」
 パワーランチャーを担いだエルフは、ディセンバーのカタパルトに機体を固定した。
「まったくムチャクチャだぁっ!……もう!ちゃんと還って来て下さいよ!」
「だから、インカム入ってるんだって。ちゃんと聞こえてるから怒鳴るなよ」
 西奈は困ったように顔をしかめて、頭に響くメカニックマンの怒鳴り声に返す。
 発進の警報がフライトデッキに響いて、機体は閉鎖扉の向こうに輸送された。
「少尉。外には敵のパワードスーツが接近しています。くれぐれもお気をつけて」
 管制室からも案ずる声がかかる。
「ありがとう。妻と母親が大勢いる気分だよ」
 西奈は少しだけ気疲れして返す。
「システムオールグリーン。発進許可」
「了解。オールグリーン確認。発進します」
 エルフは、カタパルトから射出されて宇宙空間へと飛び立った。




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あきゅろす。
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