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氷雪の陣
逆襲12





 外部の混乱とは対照的に、港内は静まり返っている。
 哨戒艦艦隊所属のエルフが港内にたどり着き、その守りに参入して来た。
 時折、防衛ラインを突破して侵入してくる敵機を彼らは確実に撃退している。
 陽本は彼らに防衛ラインを任せて、気になっていた壁面のシャッターにガーディアンを接近させた。
 大きなゲートを思わせるそれは固く閉ざされて。大型貨物を移動させる搬送ルートの入口のようでもある。
 そのわきにある制御パネルを操作し、隠されていたポートを発見した。ガーディアンから端子を伸ばしてポートに接続する。そして、ガーディアンの端末を使って基地の管理システムに侵入し、ゲートの開放に成功した。
 一部始終を見守っていた武蔵坊は、ゲートの開放を確認してガーディアンに接近した。
「陽本大尉。これは一体……」
 陽本はさらに、情報管理システムに侵入した。要塞の内部構造を呼び出してコピーする。
「要塞の構造図を手に入れました。このルートをたどって行けば、この機体でも動力システムまで接近できます」
 ウィザードに転送された立体図を確認して、武蔵坊は感嘆した。
 なんて事をさっくりとやってのけるのだろうと驚かされる。
 そして、そこまでアプローチしてみせる陽本の意向を確認した。
「どうする、大尉。……行くか?」
「はい」
 迷わず返って来た返事に武蔵坊は苦笑した。
「このまま侵入できるのはこの倉庫までだ。ここからは機体を捨てて行かなければならなくなる。……武器はあるか?」
「ええ。持参してます」
 最初から乗り込むつもりで、用意周到で臨んだとみえる。
 武蔵坊は苦笑した。実は用意周到なのは自分も同様だったのだ。
「よし、行くぞ。大尉」
 ウィザードとガーディアンは、搬送ルートから要塞の中央へと向かった。



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あきゅろす。
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