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僕の痛みを君は知らない
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 二週間後。おれは聖と街をブラついていて、大通り沿いにある書店の前で凍りついた。
 店頭に並べられている雑誌の見出しが、ポップにもデカデカと書かれていた。
『 EXCEL のヴォーカル HIJIRI に恋人発覚!! 』
 ……まさか !!
 おれは確認すべくそれを手にとって表紙をめくった。目次の次の見開きには、あのマンションの外から撮ったと思える写真がデカデカと掲載されていた。
 おれたちがリビングでキスしてる姿がズームアップされてるよ。冗談じゃない!
「まずいなぁ。レースのカーテンは、窓際なら丸見えかぁ」
 横から覗いてきた聖がつぶやく。そんな呑気にしてる場合じゃないだろう。
「まあ……記者会見で適当にゴマかしておくから。心配するな」
 軽く笑い飛ばしてくれる聖はなんだか反対に嬉しそうだ。
「――記念に欲しいなこの写真。よく撮れてるよ」
 満足してるんじゃねーって!

 ああ。……おれ、明日から出勤できないよ。
 チームの連中になんて言われるか。

 聖の嘘つき。
 ヘマしないって言ったじゃないか。





――終――



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あきゅろす。
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