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僕の痛みを君は知らない
17





 しばらくぶりに自宅に帰って来た。
 誰もいない部屋はさすがに寒い。
 殺風景なのも手伝って、あの共同生活が妙にアットホームに思えてくるから不思議だ。いけ好かないクエーサー野郎と寝食をともにするのは苦行に等しいが、仲間がいつも傍にいるあの暖かさは心地いい。
 そう思いながらも集団生活なんて絶対性に合わないのが、おれの悲しいところなんだよな。
 窓際のヒーターをつけると、ベランダの外の風景が視界にはいってきた。
 ここ数日のうちに、景色がすっかり変わって雪景色になっていた。
 おれは感動すら覚えてベランダを開けて外の風景を見渡した。
 この三階のベランダから見渡せる公園はすっかり雪におおわれていて、散歩道だけが人が通った足跡で形を残している。あとは一面の新雪で、夜の公園は街灯に照らされて雪が青く輝いていた。
 そういえば、聖がスノーボードをやりたがっていたっけ。
 今年はスケジュールが合わなかったし、おれが怪我人だったから行けなかったけど。来年はどうだろう。
 自然の雪山でのスノボなんて夢みたいだ。
 行ってみたいよな。
 と言うか。今、あの件はどうなったんだろう。
 あれが解決しないと、今年もスノボは無理なのかな。
 報道規制が敷かれているのは分かっているはずなのに、どうしてもニュースに集中してしまう。
 おれはテレビのリモコンスイッチを押した。



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あきゅろす。
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