楽園の紛糾
I will1
11.I will
深夜のハンガーに、早乙女がやってきた。
整備管理室に詰めるオペレーターに尋ねて、やはりここに野村がいた事を知った。
リーンフォースのコックピットで、マニュアルを片手に調整を続ける野村を見つけて、早乙女は彼に声をかけた。
「なに?」
コックピットから怪訝そうに顔を出した野村は、まさか、まだ騙した事を根に持っているのか……と、慎重に構えた。
「――少し時間をくれないか。君に伝えたい事がある」
早乙女が誘うと、野村はいささか迷惑そうな表情で応えた。
「告白ならノーサンキューだ」
「スカーレットがね……」
早乙女が口にした彼女の名を聞いて、野村は狼狽を見せた。
「な、んて……」
「ここじゃ言えないよ。はやく降りて来い」
強引に指示する早乙女に、野村は珍しく素直に従った。
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