楽園の紛糾
love me10
肌を合わせたまま、ゆっくりと動きながら橘の反応を伺う。決して傷つけないように、恐怖心を与えないように、身体を広げてゆく。
それに順応して、橘の身体は徐々に西奈に馴染んでいった。
表情が艶を帯びる。
それが、西奈にも高揚感をもたらした。
「すみません……ちょっといいですか?」
西奈は上体を起こすと、ベッドに寝たままの橘の腰を持ち上げて自分の腰に抱きかかえた。その姿勢によって更に深く繋がり、中の敏感な部分を強く圧迫した。
「――あ……ん、あ……っっ!」
全身が突然の強い快感に貫かれて、橘は自制できず淫らに半身を捩る。
西奈の自由になった指が、熱く硬くなった敏感な部分を丁寧に愛撫するから、橘は深い愉悦に落とされて啼き出した。
「い…や。あ……あぁっっ!」
「……嫌?」
あまりに強い反応に一瞬不安になる。しかし、今更引くことも出来ない。
「ちがっ……。いいっっ!すごく……西奈!」
快楽に翻弄される橘が西奈を締め付ける事で、西奈自身もまた強い快感に呑み込まれる。
こんなに興奮したのは生まれて初めてだ。
決して叶うはずのない想いを成就させた時の、この情のやりとりは想像以上の快楽をもたらして。
西奈は、与え合う快楽の螺旋を初めて実感した。
「橘さん。……そんなに、締めないで。すぐ……」
「だって……だめ!もう……っっ」
「……っ!」
膨れ上がる興奮と快楽は頂きに駆け昇って、殆ど同時にふたりの総身を支配した。
劣情に支配されて、陶酔に満たされた表情で互いに見つめ合って。最後まで視線を離さないで、身体が四散してしまいそうな快感に身を委ねる。
その充実感は、今まで経験してきたものの比ではなかった。
貫く快感の余韻は長くふたりを放心させる。
滴り落ちる汗が、その興奮の激しさを示して。西奈はふたたび、崩れ落ちるように橘の身体に上体を預けた。
激しく脈打つ鼓動が重なる身体に伝わる。愛し合った実感が、急激にふたりに押し寄せる。
西奈は陶酔して放心する橘にくちづけた。
情交が終わっても、情熱は終わらない。
橘を強く抱き締めながら、西奈は自分の中の憧れが、恋に生まれ変わっていく瞬間を感じていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!