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楽園の紛糾
love me5





 ずっと憧れ続けていた上官に対して、保護欲などという無礼な衝動を感じている自分が信じられない。
 しかし、所在無げに自分の目の前にいる橘が、傷つき悲しんでいる様を、黙って傍観しているなどという腑抜けた自身の在り方は我慢ならない。
 突拍子もない突然の告白で茫然としたままの橘を、西奈は再び抱き寄せた。
「……あなたが好きです」
 何故、他の者でなくてはならないのか。
 ずっと、傍に欲しかったこの人を、自分が幸せにすればいいじゃないか。
 西奈の思考はひとつの感情に集約されていった。
「――ああ。……これ、か」
 西奈の呟きが何を意味しているのか理解できない。突然の熱い告白に橘も混乱していた。
 けれど、西奈は理解した。響姫に対する早乙女の想いやその在り方が、どんな感情によって成されていたか。今なら、その想いに共感出来る。
 憧れと、諦める心が、行き場を失って刹那の充足を求めていた。早乙女は、そうして感情が走り出さないように自制しながら、一方ではその想いが枯れ果ててしまわないように大切にしてきた。
 自分の中に在るこの思いは、早乙女の感情と同じものだと思える。
「橘さん……」
 西奈は改めて橘を見つめた。
 自覚してしまうと、どんどん感情が高ぶってきて止められない。
「――橘さん。……あの……」
 息をするのも苦しくて、肋の中で心臓が暴れている。
 喉が渇いて、無意識に唾を呑み込んだ。
 こんなに自分が抑えられないのは初めてで、西奈は自分自身の感情なのに圧倒されていた。
「西……」
「許してください……」
 橘の顔色を窺いながら囁いて、そっとキスを贈る。
 唇を重ねるだけのキスでも、橘の思考は真っ白になった。
 驚いたままの表情で抵抗出来ずにいる橘の様子を見て、西奈はもう一度唇を寄せた。
 そっと唇を押し開いて答えを求める。
 その身体をきつく抱いて、深く接吻を交わしながら、橘が反応してくるのを確かめた。
 拒絶は無かった。
 むしろ、素直に愛撫に反応して、時折ピクンと肩を強張らせては、更に西奈の欲を煽ってくる。
 西奈は、衝動のまま橘の両膝をすくいあげて抱き上げると、そのままベッドルームへと向かった。



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あきゅろす。
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