[通常モード] [URL送信]

終焉の時はなく
First contact7





 ゲオルグに特攻をかけてパネッシアを失ってしまった野村は、ガイアス2号機の操縦席を占領していた。
「野村さん。これは航空機とは操縦系統が違います。……大丈夫ですか?」
 後部補助席に追いやられた葵が、野村の肩越しに尋ねる。
「君にそういう事を言われたくはないね」
 野村は操縦系統のチェックを行いながら応えた。
「ガイアスのシミュレーションは、フェニックス内のもので十分やって来たよ」
「そうですか?」
 葵はその自信ありげな態度が不満だった。
 自分の方が専門だと言う自負がある。
「……ま、とにかく黙って見てなさい。タカさんのセンスを満喫させてあげるから」
 野村はチェックを終えてから、ガイアスを移送していたパネッシア1号機から離脱した。
「射線に巻き込まれるなよ」
 立川が、注意を促して送り出す。
 そんな気遣いや優しさを向けられる自分の立場が嬉しい。
「了解。行きます」
 野村は俄然やる気に満ちてきて、戦闘の中心部へと向かった。
 急に接近戦に持ち込む事はせず 、ビーム砲で敵パワードスー ツを着実に1機ずつ仕留めていく。
「すごいな。機動性が全然違う。安定性も断然いい」
 上機嫌で射撃を楽しむ野村。
 しかし、突然のシグナルが敵の接近を知らせて、戦闘態勢に突入する。
「野村さん!後ろっっ!!」
 葵の言葉と警戒音に促され、野村はビームサーベルを抜いてローダーの攻撃をかわした。
「タカさんのバックを犯ろうなんて、百万年早いんだよっっ!!」
 野村のガイアスは、ローダーの肩口からブーツのジョイント部分までを両断した。
 エンジンまで破壊されたローダーはそのまま大破した。
「うわあ!凄い。つよ〜い!」
 葵は感嘆して、無意識に言葉を並べる。
 野村は上機嫌だった。
「ふっふっふっ……。もっと褒めてくれ」
「タカさんステキ!もう、惚れ直しちゃった!!」
「それは困る」
 野村の楽しかった気分が一遍に吹き飛んだ。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!