Novel 7 「どう思う? 何かわかったことはあるか」 運転席の轟が言った。 乗るかと誘われた時点で聞いてくるだろうと思っていたが。 「これだけじゃ判りませんよ。 さっきも言ったとおりお手上げです」 「俺はアンタのヒラメキを信じてるんだ。 それじゃ困る」 困るといわれても知ったこっちゃ無い。 「本当に美散さんの行方に心当たりは無いんですか?」 「全く。 八方ふさがりだ。 雲隠れする動機も、誘拐される理由も無い。 いたって健康な人気者だ。 いっそ死体でも見つかってくれたほうが助かるね」 「美散という女性は、どういった方なんですか?」 「現役女子大生さ。 家柄もいい、美人だし、明るい人気者。 恨まれる部分を見つけるほうが難しいってくらいだ」 完璧すぎて逆に私なんかは嫌いになりそうだ。 「あぁ、本降りになってきやがったな・・捜査に影響が出るかな」 「ほんとの所、轟さんは彼女はもう殺されてると思いますか?」 「恐らくな。 どっかで仏さんになってるだろう。 まぁとにかく何か進展があったら連絡する」 数日後、轟のカンが当たっていたことが証明された。 [*前へ][次へ#] [戻る] |