Novel 5 「・・・・・・・フッ」 ヤバイ・・我慢できずに噴出してしまった。 案の定刑事殿は大変ご立腹な様子である。 その恐い面で睨まないで欲しい。 「ま・・あのたしかにその言葉は間違っては無いですし」 「んあ?・・どういう意味だ」 「だからみさとによろしくって」 「?」 「私なんですよ。 みずやみさとは」 「・・・・・・・・・・」 「その言葉を言うタイミングではありますから」 「おい、ちょっと待て」 手の煙草を灰皿に押しつぶす。 「お前確かにみずやみさと・・なのか?」 「そうです。 名刺にメアドが記載されていたので社交辞令にと思ってメールしました。 私の名前、読みにくいんで平仮名にしたんですけど・・。 それ以前に名前言ってなかったんでしたっけ」 「言ってない」 「すいませんでした」 「いや、聞かなかったこっちも悪いんだが・・。 あ〜・・うん、そうか。 まったく紛らわしい名前しやがって」 「自分的には気に入ってるんですけど」 「その、どんな字を書くんだ?」 「みずやはまんま、水屋ですけど。 みさとは深いに知識の識で、深識です」 「深識ぉ?・・そりゃ読めんわ」 「そうでしょう? 昔からよくみさとちゃんって呼ばれてましたよ。 懐かしいですね」 「ふぅ〜ん・・深識か・・。 探偵にはピッタリの名前じゃないか」 轟は残ったコーヒーを一気に飲み干した。 私のコーヒーはまだ来ない。 [*前へ] [戻る] |