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Novel
16日 月曜日
   16日  月曜日


 後日、轟から連絡が入った。
私の万年筆が、無事に返されるのだという。
事件が解決したのかと訊くと、既に起訴段階だと彼は答えた。
あのあとすぐ、問い詰められた弟子が犯行を自供したのだそうだ。
大方、私の推理に間違いはなかったらしい。
「私もね、推理小説を読むことにしますよ。」と轟は電話越しに言った。
きっといつもの様に、短髪の頭を掻きながら言ってたのだろう。

 そう、事件の後に気になっていた『文字が語る』を読んでみたのだ。
なんと驚いたことに、それは推理小説だった。
小森貝塚の・・いや、小森貝塚名義の作品としては、初めての推理小説だ。
内容は、タイトルもそのままに、ダイイング・メッセージものである。
被害者の残した最後の手掛かりを元に、素人探偵が推理をする・・というものであったのだが、結局それが何を意味するものだったのか・・。
私が事件を解決したために、物語の中の探偵は事件を解決することができなくなった。


 万年筆が返ってきたら、私の部屋に置いておこうと考えている。
流石に今までのようには使えないからなのだが、両親への感謝と、この事件の思い出として、ひっそり置いておこうと思う。


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