タルト様より 「僕、サクラが欲しいんですけどいいですか?」 宣戦布告だったらしい、今思えば。でも俺はそんなことにも、自分の分かりやすく表れた気持ちに気づかないで挑むような言葉を返した。 「勝手にしろよ。俺には関係ねぇ」 するとサイは「無自覚かぁ」と厭味ったらしい言い方をして返してきた。そん時の俺は何を言ってんだと思いながら、何故だか焦燥に駆られてた。また苛立ち、胸が痛む。そんな俺の気持ちを見抜いていたのかサイは「僕も一応ムカつくんだ」とボソリと言い残して去って行った。 ** (…またか) 任務から帰る途中、サクラとサイが道端で話しているのを見かけた。あの宣告布告を受けてから2、3週間経っていた。その間にちょくちょく二人がこんな感じで一緒に居るのを見かける。楽しそうに笑っている二人は傍から見たら…。 (サイもよくやるもんだ) そして俺は漸くにして気づいた。突然駆られる焦燥、苛立ち、胸の痛み。それは全て俺の利己心とサクラへの想いからくる症状なのだと。(俺ってこんなに子どもだったか?) 「あ、サスケくん!」 今更どうすることもできない俺はそのまま二人を通り過ぎようとしていた。しかしサクラが俺に気づいて声を掛けた。俺はまさかこっちに気づくなんて思ってもいなくて驚いて目を見開く。 サイはサクラが呼んだ事で俺に気づいたらしく、はっとしたようにこっちを向いた。その顔からはあの造りもののような笑みが消えていた。 「任務だったの?」 「あ、ああ」 「お疲れ様。あのね、今からサイと食べに行こうって話になってるんけど、サスケくんも行かない?」 なんて運の悪い…いや、むしろ好都合か?まぁ兎に角俺はいつもの症状が出てきた。胸が握り潰されそうな痛み。一応自覚してるがそれでもこの症状のコントロールはできない。俺は必死にそれを抑えた。(厄介だ) 「どう、かな…?」 「…」 窺いながらそう聞くサクラ。正直、俺はあまり乗り気ではない。そりゃ、誘われたのは嬉しいし、サイとサクラの距離が少しくらいは近づかせなくて済む。だがサイの気持ちを知ってて邪魔しに行くなんて性格ワリィじゃねーか。それにサイには「勝手にしろ」なんて言っちまったし。 返事に困って戸惑っていると突然とサイが「ねぇサクラ」と間に入ってきた。 「僕、やらなきゃいけない仕事思い出したんだ。だから今日はサスケくんと二人で行ってきなよ」 「…え?」 俺は驚いて思わず声を出してしまった。だってサクラを欲しがって俺に宣戦布告してきた奴が、だぞ?俺とサクラで行けだなんてどういうつもりなのか。 「そうなの…?」 「うん、だから行きなよ」 サイの顔はいつもと変わらない、あの笑みになっていた。更に俺はわからなくなった。そんな俺を余所に話はどんどんと進み、俺とサクラだけで食べに行くことになっていた。 「え、でも…サスケくんはいいなんて言ってないわよ…?」 「いいから。それじゃあね、サクラ、サスケくん」 「え、あ…サイ?」 サクラの呼び止める声に耳を傾けず、サイはそのまま話を押し通して、帰っていく。しかし俺の真横を通った時、ピタリと止まって俺を見た。 「またね、サスケくん」 「サイ、お前…」 「サスケくんが自覚したならいいよ。それにサスケくんを見つけたときのサクラの顔見たら…」 刹那、サイの笑みが崩れた。しかし直ぐにいつもの笑みを取り戻し、ニコっと笑って「じゃあね」と去って行った。 「サイ!またいつか暇があったら食べに行こうね!」 「ああ…うん。じゃあ」 帰るサイにサクラはそう声を掛けた。しかしサイは気がないような返事をして背を向けた。 取り残された俺達。二人の間に流れるのは沈黙。しかし空気は重くなかった。 (俺を見つけた時のサクラの顔…) 俺はフッと笑みを零していた。ああ、そっか。俺は自分に関しては鈍いが人の事になると鋭い。サイの言葉に俺は胸が浮いてしまいそうなくらい、舞い上がってる。だって、好きな奴が俺を見て表情を変えたんだぜ?俺は帰って行くサイに心の中で感謝しつつ、止めることのできない笑みのまま「サクラ」と声を掛けた。 「何食べたい?」 するとサクラは目を見開く。まるで「いいの?」と言いたそうな顔だ。そしてだんだんと頬が赤く染まっていく。やっぱりか。俺は更に舞い上がり、胸がドキドキと鳴り始めた。 やべぇ、俺…。(嬉しい…!) 「行くか?」 「うん!」 「じゃあ」 と大きく頷いて返事をしたサクラの手を取った。サクラは驚いた顔をする。俺はフッと笑ってサクラに歩き出した。 (マジで何食べたい?) (アマトリチャーナ!) (あ、あま…え?) ********** タルト様より、誕生日のお祝いにいただきました〜〜! 私なんかの誕生日を覚えてくださっていたことだけでも感激なのにさらにリクエストまでさせていただけるとは! そして図々しくもサスサク←サイをリクエストさせていただきました★ ヤキモチネタ大好きな私は終始ニヤニヤでした(*^^*)ニヤニヤニヤニヤ サスケくんの無自覚さがかわいいし、サイは出来た子だし、サクラちゃんはちょっぴり天然でかわいすぎるし…!んもーみんなが可愛くて仕方ないです! これから進展していく(であろう)二人を妄想してしまいます♪ アマトリチャーナおいしいですよね〜!笑^^タルト様、ほんとうに素敵な小説ありがとうございました! ←prevnext→ [戻る] |