猫はご主人様に夢中! 9 9 床にちらばった目覚時計と乾電池。 美咲はその目覚時計の音が、大嫌いだった。 恋人を"学校"と言う場所へと出掛けさせる合図だから。 はっきり言って、地元の国では人気者だったはずの猫。 捨てられた訳ではなく、逃げてきた猫。 なのに、 なのに、 この人は振り向いてくれない …欲しいものが手に入らない。 今までに味わった事のない焦りともどかしさに、美咲は頭を抱えていた。 「なんでそんなに拒むの」 「なんでって…お…とこだし...?」 「男が男を好きになるのはおかしいことか?」 悪い訳じゃない いつからか、女と男という価値観があって 本能に従うように生きてきたまでだった。 それを何故?と問い掛けられても、曖昧な答えしか浮かぶのは事実であって。 「…それは…」 「何?」 聞かれてもわからない自分に腹がたつ。 なんでこんな馬鹿猫に…! 時間は黙っていても過ぎていくものだ。 恋人は黙ったまま、美咲はそれをただ黙視している。 「…あ、そ」 美咲は掴んでいた手を離すと、部屋を出て行ってしまった。 その光景に何故か悲しくなった。 何故と聞かれてもわからない。 全て分からなくなっている 流れ落ちた涙がに意味はないと思った。 なのになんでこんなにムカムカするんだよ…! 「っちくしょう.....!!!!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |