猫はご主人様に夢中!
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相変わらず朝の電車は混んでいて、帰りの駅も人があふれていた。
やっと家に着いたかと思えば、部屋に灯がついていない。
寝てるのかな…?
今日話そうと朝決めたばかりの決心が薄れる。
ちくたくちくたく
と、いつもなら聞こえないはずの時計の秒針が俺を迎えた。
「ただいまー……?」
明かりもついていない家は真っ暗だった。
俺の声にも気付いてないのだろうかと、壁に沿ってリビングに向かう...静かだな。
相変わらず時計の秒針の音が闇のなかで静かに響く。
カチ
電気をつけるといつもと変わらないリビングがあった。
俺はほっとしてソファーに鞄を投げ、ネクタイを緩める。
「美咲ー?」
きょろ...と辺りを見回しても、リビングに美咲の姿はない。
まぁそのうち戻ってくるだろう-----------…という考えは甘かった。
30分たっても美咲がでてくることはなく、寝室を覗きにいってもあいつの姿はない。
…もしかして風呂?
脱衣所のドアをそろ〜りと開けると、電気はついていなかった。風呂も電気はついていない。
なんだ…いないじゃん。
ちゃぽん
「(!?)」
風呂場から水の音。
肩をびくっとあげてしまったが、そんなの今はお構いなしだった。
恐る恐るドアに手をかける。
カラリと開けた途端に俺は暖いお湯の中に。
…勿論自分で転んだんじゃない。
「…おかえり、恋人」
心臓がどくどくと鼓動をうっていた。
いつにもまして、早く。
こいつにドキドキとかしてるんじゃなくて、急に引っ張られたからだ。
その声はよく聞く声で、俺が捜索していた猫だった。
「なんでここに来たの?」
「別に。…ッたく、俺 あがるし」
「一緒に入ろ?どーせもうびしょ濡れだ」
(お前が濡らしたんだろ!)
「嫌だよ…なんで男2人で風呂に入るんだ…」"よ"と言葉が言い終わる前にYシャツのボタンをプチプチと外し始めた。どうしてこいつは話を最後まで聞かないんだよ…。
「何やってんの」
「? ボタン外してるの」
「てかさ、俺明日学校なのに制服どうするんですかね?」
「休んで俺と遊ぼ?」
「…」
ばか野郎。
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