青空に手は
細い肩
「はあ、はあ」
シャワーを頭からかぶり、宇宙は口元を抑えた。
「っう…!」
襲い来る吐き気を無理やり飲み込むが口の中をすっぱいものが占める。
濡れた体を乱暴に拭き、着流しを着る。
帯を軽く締めてカタカタと震える体を抱きしめる。
「うっ…くっ…」
足に力が入らなくなり、ズルズルと床にへたりこむ。
脳裏に浮かぶのは自身の父の姿。
『っうあ…!来るなっ宇宙…!』
「っ!」
宇宙の生気の失った瞳にうっすらと恐怖の色が浮かぶ。
「俺は奴隷…俺は奴隷…俺は奴隷…」
自分に言い聞かせるようにそう呟き、ギュッと細い肩を抱きしめた。
いつまで我慢すればいいのだろう。
父上と母上がいなくなってどれだけ経った?
『父上!おかえりなさい!』
『母上、誕生日おめでとお!』
目に浮かぶのは幸せだった日々。
もう戻らないのかな…?
「う…ひっ…く」
後に残ったのは小さく響く宇宙の嗚咽だった。
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