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青空に手は
目撃情報


『真選組屯所』


そう書かれた建物の中にある一室に隊士たちは集められていた。

雰囲気はどこか重たく、普段は尽きることのない会話も今は驚く程静かで誰も口を開こうとしない。

そんな中、突然襖が開き一人の男が入ってきた。


「おう、待たせたな」

そう言って隊士たちの前に座り、胡座をかく。
その男の名は、近藤 勲。
真選組局長であり、隊士たちの信頼も厚い男だ。

「近藤さん、例の件。」

近藤を急かすように切り出したのは隣に座っていた男、
土方 十四郎だった。
彼は真選組副長で近藤に次ぐ権力者だ。

「ああ、そうだな。」
一つ咳払いすると真剣な顔持ちで話し始めた。



「昨夜、奴 が現れた。」

そう言った瞬間、凄まじい寒気が自分の周りを取り巻いた。


「場所は4丁目の路地裏。被害者は一名だ。」

近藤がそう言うと続きは土方が話す。



「目撃情報はあるが…」

渋っている土方に、一人の隊士が声をかけた。


「土方さん。早く話してくだせえよ。時間の無駄でさあ」

挑発的な言葉を投げかけるのはまだあどけなさが残る少年
沖田 総悟だ。
まだ17歳という若さでありながら、一番隊隊長を務めるという真選組随一の剣の使い手だ。


「…犯人の容姿は10歳前後で背丈も低くどちらかというと華奢だということだ。顔までは見えなかったらしいが幼いということだけは確かだ。」


そう言った瞬間、辺りには戸惑いの色が見え始めた。

「ま、待ってくれ副長!」

「もしそうだとしたら俺たちより年下ってわけかよ?!」


それもそうだ。
今まで自分たちが取り逃がしていた人物がまさかそんな小さな子供だなんて思いもしなかっただろう。

ましてや、とても大きな筋肉むっきむきな男を想像していたのだ。
ショックを受けるのも当然だろう。



「落ち着けおまえら。
 たとえ子供だろうと大人だろうと実力は確かだ。
次に出没すると思われる場所も、もう目星はついている。






次こそ捉えるぞ」


近藤がそう言った瞬間、放心状態だったものも気を取り戻し、大きな声で返事をした。



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