青空に手は
路地裏
「ひっ!ま、待ってくれ!殺さないでくれ!」
「…」
暗い路地裏。
人通りも少ないそこには一人の男の哀願する声が響いていた。
それを静かに見下ろすのはまだ小さな少年。
己の手に持っている槍を男の喉仏に向けている。
男は自分より一回りはしたであろう少年の足にしがみつき、生にすがる。
「お、俺は頼まれただけだ!なにも知らない!」
多分男がいうことは本当だろう。
いくら見た目が幼い自分でも戦歴は確かなもの。
その自分を殺しに来るのがこんな暗殺ど素人となるとこの男はただの捨て駒なようだ。
用なし
少年は手に持っていた槍に力を込め用とする。
「俺には家族がいるんだ!い、家で俺の帰りを待っている!」
そう言って懐から家族写真と思われるものを取り出すと少年に見せる。
「…」
その瞬間、無表情だった少年の表情が変わった。
「だから…!」
「…いよ…」
「え?」
「うるさいよ」
気づいた時には自分の心臓に槍が突き刺さっていた。
もっとも、気づく前に死んだだろうが。
「…」
少年は落ちた写真を広い、次にはビリビリと破り捨てた。
写真は風にのり、暗い夜の闇にまぎれてすぐに見えなくなった。
「家族…」
小さく囁き、次の瞬間にはそこには誰もいなかった。
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