青空に手は
炎
『くそっ…もう火の手が来たか…!』
『閻魔様…』
薄暗い屋敷の中で母上と父上が何か話していることが分かった。
あたりは騒がしかったが俺らの周りだけ空気が違うかのように静まっている。
『良いか宇宙。この中からは絶対に出てはならぬ。』
父上が俺の両肩に手を置き、言い聞かせるように言葉を並べる。
『騒ぎが収まったら急いで屋敷から出るのですよ。決して振り返ってはいけません。』
母上がそう言い、まだ小さな俺を押し入れの中に入るように施した。
『父上…母上…?何処かへいくの…?』
俺の問いかけに帰ってくる声はなく、だんだんと視界が遮断されていく。
『い、嫌だ!俺も一緒にいる!』
『宇宙…』
最後に感じたのは父上のぬくもりと母上の泣きそうな声だけだった。
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