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青空に手は
落ち着き



夜、沖田が自身の部屋に二人分の食事を用意していた。
自分の分と―宇宙の分だ。

本意ではないとはいえ、宇宙の面倒を任されたのだ。
世話をしなければ後で何を言われるかわからない。



「(たく、あの餓鬼めんどくせえことにしやがって。)」



年上を敬えってんだ、そう呟きながら部屋への襖を開ける。


「おい、飯持ってきてやったぜ。」

そこには宇宙はおらず、沖田は一瞬焦る。が、探していた人物は簡単に見つかった。
宇宙は部屋の隅っこでうずくまっていた



「っ」

息は荒く、その肩は震えていた。
自身を守るかのようにうずくまるその姿は先日戦った相手と同一人物だとは思えなかった。



「おい、どうしたってんですかぃ」

流石の沖田も不審に思い食事を置いて宇宙に近寄った。

「ふっ…」

ふるふると頭を振り、宇宙が言葉を発しない。


「!やだっ…」


沖田が背中に触れた瞬間今まで黙っていた宇宙が拒絶の言葉を吐いた。


「ごめ、なさい…!ごめんなさい…!」


何度も何度もごめんなさい、ごめんなさい。
そう呟き、カタカタと震える宇宙。



「(こいつ…なにに対して謝ってんでぃ)落ち着きなせぇ」


「ひっ!や、やだ、やだあ!」


沖田が手をなんとなくあげた瞬間、虚ろだった目に浮かぶはっきりとした恐怖、拒絶。



どうすればいい…
沖田は子供のあやし方なぞ知らない。
ましてや、昨日戦ったばかりの相手だ。
罠かもしれない。

しかし、そんな考えはすぐに捨てた。
まだ若いとはいえ沖田は一人の隊長だ。宇宙の瞳は怯えきっている…とてもじゃないが演技だとは思えない。




「っ?!」

「ここに、あんたに害を及ぼす奴はいねえ。」

「やっ…」

沖田は自然と宇宙の細い体を抱きしめていた。



「謝る理由もなんもねえ。

 んなに怯えてんじゃねえよぃ」


強張っていた宇宙の体がだんだんと落ち着きを取り戻してきた。


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