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青空に手は
部屋




「名前は?」

「……」

「年は」

「………」

「…住所は」

「…………」










ぶちぃ!


「てめえごら!答える気あんのかあああああ?!」

何を質問しても答える気のない宇宙に、遂に堪忍袋の緒が切れた土方は立ち上がり、絶叫した。

「おおお、落ち着けトシ!」

それに近藤が慌てた様子で止め、近くで座っていた沖田が宇宙を見る。
その瞳は虚ろで、感情が全く入っていなかった。


「…とりあえず総悟。この子を部屋へ入れてやってくれ。まだ気持ちの整理がつかないのだろう」

潔く落ち着いた土方を座らせながら近藤がゆっくりとため息をついた。

「部屋って…俺のですかい?」

「ああ、今はどの部屋もいっぱいで空き部屋がねえからな」


煙草に火をつけながら舌打ちまじりに土方がいう。
それにえーと沖田が非難の声をあげる。

「そんなの土方さんの部屋でいいじゃねえですかぃ。
副長だろ土方ー」


「俺は仕事があんだよ。
こういう時だけ副長いうな」


そんな沖田をちらりと見ただけで、立ち上がり近藤と一緒に部屋を出て行った。


「…俺ぁ沖田総悟でさぁ。そういうことであんたは今から俺の部屋に行くらしい。ついてきな。」


若干早口でまくし立てるけど沖田も立ち上がり宇宙を連れてその部屋から立ち去った。





宇宙は手錠はかけられたままだが足は自由。
いざとなれば逃げ出すことも可能だ。

宇宙にはまだ隠しているものがあるからだ。



「……」



ジャラ



だが、宇宙はそれをせずただ黙って沖田の後ろを歩いていた。
相変わらず足音はせず、足枷だけの音が広い廊下に響くだけだったが。


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あきゅろす。
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