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大好きだから
「夕陽…」
「ん?」
「いや、なんでもない」
最近、変な夢ばっかり見るんだ。
夕陽が死んじゃう夢。
俺はそれが怖くて怖くて震えがとまらないんだけど
皐月がこの話を聞いて気味悪がったら困るから言わないでいるんだ。
それがこんなことになるなんて
きっとこの世界じゃ俺らのどっちかが死ぬまで終わんない。
だから俺は、大好きな夕陽を助けるって決めた。
様子のおかしい夕陽がもう帰ろうといったので、俺は夕陽の少し後ろを歩いている。
「っ」
上にはグラグラと揺れる鉄柱。
それに気づいていないかのような夕陽。
拳をギュッと握り、震えを抑えようとする。
怖い。
本当は怖くてたまらないけど…
「夕陽…」
「ん?」
夕陽が
「あんがとね」
大好きだから。
サヨナラ
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