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終わった





「皐月っ!!!!!」


目の前には皐月
皐月が見えていないかのように向かってくるトラック



もう皐月は僕より遥か向こうにいて



「っ!」

間に合わないかもしれない


けど



間に合うかもしれない!


僕は皐月の体を押して、道路の向こうへと押しやった






瞬間
トラックにぶち当たる




血しぶきの色

皐月の瞳と
軋む体に乱反射して




『っ!』


視界の隅には文句ありげなカゲロウの姿





ざまあみろよ



そう小さく言ってやった。







「夕陽っ!!」




泣きそうな皐月の声が僕の耳に入ってくる。

その声はとても悲痛でもう、あの頃に戻れないのだと悟った



瞳から涙をこぼす皐月の横




「っ!!!」




皐月にそっくりなカゲロウが、冷たい瞳で見下ろしていた





そんな―

じゃあ皐月も…!












実によく在る
夏の日のこと


そんな何かがここで終わった






「夕陽っ…!」
後に残ったのは、悲痛な皐月の声だけ


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