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皐月に
できなかった。
僕には皐月を救えるほどの力がなかった。
そう思い知らされた。
信号機にも気をつけたのに。
上だってちゃんと気をつけたのに。
歩道橋だって渡らなかったのに。
「んでっ…!」
あの
黒い猫が邪魔するんだ。
「皐月いいいいいいいい!!!」
今日も僕は叫ぶ。
トラックに引きずられる皐月に
鉄柱に貫かれる皐月に
階段から落ちる皐月に
電車に飛び込む皐月に
首をつった皐月に
『夕陽』
笑顔で名前を呼んでくれる
皐月に向かって。
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