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良かった
「っ、はあ…は…」
今日も暑い日差しが降り注ぐ。
こんな日に全力で走るなど自殺行為だろう。
だけど今は…
今だけは…!
「あ、夕陽!」
笑顔でこちらに手を振ってくる皐月の姿が見えた。
あの、黒猫の姿は今のところ見えない。
「わ、すっごい汗…」
「来て皐月!」
話そうとした皐月のセリフを遮る。
僕の汗ばんだ手が皐月の暖かい手を掴んだ。
「え、どしたの…?」
「いいから!!」
ただただ行くあてもなく走り出した。
僕の後ろで皐月が何かを言っているようだけれど今は
そんなことも考えられない。
とにかくあの公園から…
あの猫がいるところから離れたかったんだ。
「ちょ、待ってよ夕陽」
「でもっ…!」
ああ
振り向くんじゃなかった
無理やりにでも階段を駆け上がれば良かった
『ね、いつまで走るの?』
視界に、
入れなければ良かった。
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