book 上を見上げ そのまま僕らは他愛ない会話をしながら足をすすめる。 だが、先ほどの雰囲気が残っているせいか、会話も長続きはしなかった。 道を抜けた時に後ろから皐月の声が聞こえた。 「夕陽…」 「ん?」 小さな小さな声で呼ばれる。 「あんがとね」 「え…」 「きゃあああ!」 「うっそ!危なくない?!」 どうしていきなりそういったのかはわからなかったが、突如聞こえてきた悲鳴に意識をそちらに傾けた。 周りの人は皆上を見上げ口を開けていた。 「?…」 自然と僕も上を見上げようとするが、それは皐月が僕の横を通り過ぎることによって叶わなかった。 「さつ…」 ぐさ 危ない、と誰かがいったのが聞こえた。 「え…」 目の前で起こっているのはなんだ。 頬に伝わる生暖かい感触は? 皐月が倒れているのはなんで? なんで…なんで… 「皐月…?」 皐月の背中に鉄柱が突き刺さっているの? → [*前へ][次へ#] [戻る] |