empty(3Z高桂)
帰りのHRが終わり、クラスメートとの挨拶もそこそこに隣のクラスへと向かう。
外へでる奴らをかき分けてクラスの中に入ると、その日は珍しく桂が席にいない。
今日は掃除ではなかったはず―
まぁあいつのことだから、授業で分かんないとこを聞きに行っているのかもしれない。
クラスの中にいる人数も減ってきたので、桂の席の隣の席に座り携帯を開いた。
*
―ガラガラ。
時間が経ち(携帯をいじるのにも飽きるぐらいに、だ)誰もいなくなった教室で机に突っ伏していると、桂が教室に入ってくる。
夕日がさし、オレンジ色に染まった桂の横顔が少し虚ろげだ。
「しん、すけ…」
近寄ってきて、ふいに抱きつかれる。
桂からなんて…珍しい。
いつも俺から(しかも半ば無理矢理)抱きつく事が多かったのに。
女よりは少し硬いが、男よりやわらかな体を抱きしめ返してやる。
「…なに、してんの?」
肩に顔をうずめている桂に問う。
「ん?じゅーでん。」
そう言うと首に絡めていた腕の力を抜き、桂が唇に1つキスをする。
めずらしい行動に動揺しつつ、それでも悟られまいと、後頭部に手を回しキスを深くしようと舌を伸ばす。
すると、ふいっと自然に顔を背け、またきつく抱きしめられた。(なんなんだ…こいつ)
どうにも桂のペースに流されている気がして少しイラつく。
「なぁ…オイ。」
先ほどより少し語調を強くして言ったつもりだったのだが、それを察するような奴では無かった。
「じゅーでんちゅう…。」
いつになく電波大放出中の桂に、諦めたという意味を込めて大きくため息をつく。
「…完了したか?」
今度は優しく。
「ん…まだ」
甘えた様に呟く桂に、胸の奥が暖かくなるのを感じる。
なにか嫌みでも言われたか?
成績の事を何か言われたか?
真相は後でゆっくり聞いてやるとするか。
でも今は俺で心の穴を埋めてやろう。
と、柄にもない事を思う。
優しく頭を撫でてやると、嬉しそうに笑う桂の声が耳に響いた。
end.
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お礼小説第3段!!(確か)(こら)
いつになく電波な桂君と男前高杉でした!!
ゆんゆ様だめ出し大歓迎でございます!!
お粗末様でしたっ!!
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