ネネとトト
7.
「この町は良いところだな」
「もう慣れたか?って言ってもネネがここに来てからもう8ヶ月にもなるんだな」
「あぁ、早かったな」
そういえば何故ネネがこの町に引っ越して来たのか、前にどこにすんでいたのかなど聞いたことがない。
言えない事情でもあるのかもしれない。
「おい見ろよ」
「なに?」
ネネが指差す方には小さな川が流れていて、夕焼けの橙の色が反射して煌めいている。
「綺麗だな」
「…ぷっ見かけによらずロマンチスト」
「笑うな」
顔を赤く染めたネネがいつもより幼くみえた。
少し拗ねたような表情が彼の幼少期の面影を漂わす。
ネネの子供時代…
はは、想像できない。
でもネネをもっと知りたいと思うのはおかしな事だろうか…
普通、友人にこんな感情を持つだろうか?
「ネネはどんなガキだったんだ?」
「は?なんだいきなり。…うーん、てかまだまだ俺たちはガキだ。…早く大人になりてぇ。」
「そうだな」
ネネの瞳はどこか遠くを見ていて、いつかの思い出に浸っているのは一目瞭然だった。
俺の知らないネネがいるんだと、その時感じた。
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