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ぼくはねこ
6.




連れていかれたのはカイの小屋だった。

中にある綿の塊みたいな所に降ろされて顔をひとしきり舐められた。

(名前は?)

「僕はルナだよ」

(ルナか…可愛い)

「可愛いくなんかないよ。男だよ?」

(男でも可愛い)

「…カイのご主人様はジューン様?」

(違う。ジューン様の弟のシノ様だ)

弟?
弟がいるなんて知らなかった。

会ってみたいな。

(シノ様は捨てられていた僕をひろってくれたんだ)

「そうなんだ。いい人だね」

それからそのシノ様のお話や色んな事を話して、寄り添うように小屋の中で寝ていた。





翌朝、みんなが起きてルナの姿が見当たらないのが思ったより大騒ぎになっていたようだった。

小屋を覗いたジューンが驚いた顔でルナを起こした。

「ルナ、起きなさい。一体なぜこんな所で」

「あ、ジューン様おはようございます。」

「おはよう。すっかり仲良しだね」

寝ぼけているルナの頬をペロペロ舐めるカイ。

「カイもおはよう」

(おはよう)


「ん?カイの名前は誰から聞いたんだい?使用人たちはみんな怖がってカイの名前さえ口にしないというのに」

「カイ自身が…ぁ」

言ってから後悔した。
また気持ち悪がられるかもしれない。

「な、なんでもないです」

「そうかい?それよりみんな君を探しているよ。すごく心配していた」

「あ、ご、ごめんなさいっ」

立ち上がって屋敷に戻ろうとするとカイがクーンと鳴いた。

「またすぐに来るよ」

微笑んでから小屋を出るとひとりの少年が立っていた。

(あ、真っ赤な頭!もしかして昨日の)

「兄さん、誰だよそいつ。今カイの小屋からでてきただろう」

「この子はルナだよ。今きている猫族の1人さ。」

「男じゃないか」

ジロジロとルナを見る。

「そんな事はいい。それよりルナ、君はここにいる間はこの僕の弟、シノの遊び相手になってあげてくれないか」


(シノ?

じゃあカイ言っていたご主人様ってこの子かぁ)

「ぼ、僕で良かったら」

「良かった。シノの友達はカイだけだからなぁ」

そう兄に言われたシノは顔を髪の様に真っ赤にさせて

「お、俺にはカイだけでいいんだ。お前みたいな子どもっ」

「ルナは確か16歳だよ。シノは15ではないか」

幼いとは思っていたが、自分より年下だったのに少しショックを受けたルナ。

「ワンっっ」

振り向くと小屋から出てきたカイがいた。

「カイ!」

シノが嬉しそうに自分の元へとカイを呼んだ。
側にきたカイの背中にスッと飛び乗る。

(すごい、身軽だなぁ)




「湖に行くんですか?」

昨日カイに毎朝、近くの湖に2人で散歩に行くと聞いた。
とても美しいらしい。

「…なぜ知ってる」

シノが怪訝そうに僕の顔を見る。

(し、しまった…)

「え、えと」

「毎朝、湖に行くのは俺とカイしか知らないはず。何でお前が知ってるんだ」

隣を見るとジューン様もじっと僕を見てる。

「……」

「なんだ、黙って。聞いているだけじゃないか」

「ルナ、言いたく無いのだったらいいのだよ。さぁ、朝食を食べに行こう」

優しく微笑んで背中を押してくれるジューン。
シノも別に怒って無い様だ

「ぼ、ぼく…動物の声が聞こえるんです」

そう小さな声で呟くと、2人とも驚いだようだった。


「じゃあカイの名前も」

「カイ自身から聞きました」

途端にカイの背中から飛び乗りたシノは僕の両肩を掴んだ。

「す、すごいな!」

「え…」

「俺なんか一回も聞こえたことねーよ!いつも心は繋がってるけどな!」

「すごいことじゃないか。隠す事なんてない」

やっぱり
この人達は他とは違う。


「じゃあ、今カイは何て言ってる?」

「えっと」

改めてカイを見る。

(おなかすいた)

「お腹が減ったらしいです」

「そ、そうか。ルナとかゆうの、お前も来い!」

「は、はいっ」

シノはルナを自分の仲間にする事を許した様だ。
ルナの腕を引っ張り自分より先にカイに乗せようとする


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あきゅろす。
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