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ぼくはねこ
5.




次に起きたのは夜中の3時だった。
確か掃除を終えて部屋に戻ったのが6時だったから…9時間寝ていた事になる。

向かいのベッドには夕食を済ませ、帰ってきたセシルが寝ている。

起こさないようにベッドから降り、庭に出て散歩することにした。

他の人達を起こさないよう静かにドアを開け、廊下に出た。

暗い廊下に所々オレンジの光が灯っている。


ひたひたと歩いていく途中で自分が素足だという事に気づいた。

(ま、いっか)

庭に出ると朝や昼とはまた違う、神秘的な光景が広がっていた。

(本当に綺麗だ…)

中央にある池に月の光が反射している。
完全にその景色に魅入ってしまっていた。


ふーっふーっ


そういえばさっきから後ろから何か変な音がする。
それはだんだん確実に近づいてきて…
荒い息遣い…?

振り向くとそこにはルナの何倍もあるであろう大きな犬がいた。

「グルルルルっ」

威嚇している。
泥棒だと思ってるみたい。

それにしてもこんなに大きな犬、初めて見た事がない。

「しー、静かにね。僕は怪しい人じゃないよ。おいで?撫でてあげるから」

最初は警戒していた犬も、ルナの言ってる事を理解してくれて尻尾を振り出した。
きっとルナ達が話している言葉が理解できるとても頭の良い犬なんだ。

顔を撫でてもらおうと頭を下げてきた。

「よしよし。君、かっこいいね。名前は?」

(カイ)

「カイかぁ。名前までかっこいい」

どうやら自分は動物の声が理解できるみたいだ、と気づいたのはまだ幼いころ。

たまに犬族が犬の言葉を、鳥族が鳥の言葉がわかる事があるらしいがルナは例外なくどんな動物の声でも聞こえる。

それを姉さん達が気味悪るがってから周りには知られないようにしてきたが、

「わぁっ」


突然カイがルナの服の背中の部分を咥え、何処かに歩き始めた。
「ど、どこに行くの?」

それには答えてくれない。
でも何だか嬉しそうだ。


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