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ぼくはねこ
3.


「私はこれからもルナ以外の子を嫁に貰うつもりは無いよ。どうしてそんな事を言うんだい」

「だって」

「本音を言えばルナに産んでほしい。…でもルナはこれまで男の子として育ってきたし…負担が大きいと思ったんだ」

「…え?」

そんな事を考えてくれていたなんて思ってもいなかった。

「…ジューンさまの側で…産んでもいいのですか?」

「もちろん…」

それからジューンは本当に愛おしそうにルナのお腹を撫でた。
触ってくれたのはこれが初めてだ。
ジューンの手が心なしか震えているような気がする。

「どこにも行かないでくれ…ルナが好きなんだ」

顔は伏せていてどんな表情をしているのかわからないがさっきのルナの言葉に相当堪えたのだろう。

「…はい。」

それからシノがこの部屋に来るまでの間、ずっとそうしていた。





* * *




ルナが産むと決めて周りの人達はホッとし、エマも前よりルナに気をかけてくれているのがわかる。

ルナは吐き気などは無くなったがお腹が大きくなってきていて、早く産まれて来ないかと、とても楽しみだ。

もしもの事が無いように湖には行っていない。
湖から帰ってきた2人を待つためにカイの小屋へ行くようになった。

「ルナっ!」

カイの上に乗っているシノは大きな声でそう呼び、カイもルナを見ると嬉しそうに尻尾を振った。
側まで来るとシノが背中から飛び降り駆け寄ってくる。

「大きくなったな」

ルナのお腹を見ながらシノが言う。

(もうそろそろ産まれるんじゃないか?)

「どうして?」

(カン)

カイと顔を見合わせて笑い、それを見たシノも笑ってた。



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あきゅろす。
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