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ぼくはねこ
11.

「ルナ、体はもう辛くないかい?」

「あ、はい。もう大丈夫です」

「そうか。でもまだ起きてはだめだよ」

ジューンはルナを横にし、その上から布団を被せる。
その上から落ち着かせるよう手でとんとん、と心地良いリズムを刻んだ。

「今夜は私もこのまま寝ようか」

「お仕事は?」

「明日でいいよ」

ジューンはルナをとても甘えさせる。
それがとても幸せで、今度は夢を見ないくらい深い眠りに落ちた。



* * *


朝一番、ルナが目を覚ますとすでにジューンはいなかった。
いつもは一緒に起きて朝食をとるが昨日の仕事が残っているから早めに起きたのだろう。
隣の布団に手を入れても温もりは感じられない。
大分前にジューンはここからいなくなったのがわかる。

「うーん」

背伸びをしてブルブルと体を震わし、時計を見ると10時を過ぎている。

目を疑い、2度見しても時計の針は変わらず10時を指している。

「わわっ」

急いでベッドから飛び出し、自分の部屋にいってコンに餌をやってからシノの部屋に向かって走る。
多分、昨日の事もあってあえてルナを起こさなかったのだと思う。

(起こしてくれてもよかったのに)

シノの部屋のドアをノックしても返事が無い。
やっぱりカイと湖に行っているんだ。
これから何をしようかと考える。
もう一度自分の部屋に戻ってコンとお話をしようと決め、踵を返す。
と不意に後ろの窓が目に入った。

その窓からは屋敷の玄関が見え、馬車が止まっている。
誰かが来ているんだろうか、と思ったがマーシャがそれに乗り込もうとしていた。

(え?帰るのかな?)

周りにはジューンもシノもいる。
昨日は何も言っていなかったけど、今日帰る事は決めていたんだろうか。
それにしても急な気がする。


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