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ぼくはねこ
9.

こんな事は小さい時によくあった。
自分が否定された時など良く嘔吐を催していたのだが年を重ねるに内にそれも数が少なくなっていき、最近は全く無かった。
それなのにどうして…
気持ちが悪く口元を抑えていると心配してくれているシノが目に入る。

戻しはしなかったものの、2人を驚かせてしまった。

「すみませ、ん」

「気分が悪いのなら部屋に戻って横になればいい」

シノがルナを背負い、部屋に連れて行こうと部屋を出ようとした時

「……お大事に」

とマーシャが今日初めてルナに向かって喋りかけたのだが、返事は出来ない。
マーシャは読み取れないくらい無表情だった。



* * *




自分は今、夢を見ている。
顔も知らない父親と母親。
母親は椅子に座りルナを抱いていて、父親は覗き込んでいる。
幸せそうな普通の家庭だ。
もし2人が生きていたらこんな風だったのだろう。
ふわふわと3人を見下ろしながら宙に浮いている。

すると浮いていたはずの体が急降下しだし、次は底のない真っ暗な闇をひたすら落ちていく。

叫んでも誰も助けてくれない。
ルナはこれが夢ということを忘れて必死に叫び続ける。

『ルナっっ!』

隣でジューンの声がする。
手を握るとしっかりと握り返してくれた。

次は自分がベッドに寝ている場面に…
違う、もう夢では無い。
誰かが自分の頭をゆっくりと、なぞるように撫でている。
眠りから覚めたルナは現実でも誰かが自分の手を握ってくれているのに安堵する。

(だれ?)

「〜〜」

「〜〜、」

誰かが話し合っている。
まだぼやんやりとしていて状況が飲み込めずにいるルナはシノにここまで運ばれて来たのを思い出す。
気持ち悪さは無くなっていて、少し寝て平気になったようだ。
目を開くとジューンとマーシャだった。
2人はルナが起きたのに気が付かないみたい。

「私の方がジューンのことすきよ」



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