ぼくはねこ 7. マーシャがやってきた。 その登場は凄まじいもので、ルナは肝を抜かれた。 「ジューーーーンっっ」 隣にいたルナを押しのけてジューンに抱きつく。 ジューンは困ったな、という顔をしながらもとっても嬉しそう。 「マーシャ、綺麗になったな」 と、ルナにするように頬を撫でる。 他の人にそうするのを見たことがなかったルナは少し気が落ちた。 「ありがとう!ねっねっ。結婚しただなんて嘘よねっ!」 さっきとは打って変わり、必死な顔をしている。 ドキっと胸が高鳴り、ルナもジューンの答えを待つ。 「本当だよ私はルナと結婚したんだ」 ルナの腕をそっと掴み、ジューンの隣へ戻す。 「…男?」 「そうだ」 「ふーん」 ジロジロとルナを見る。 その目がルナの悪い所を探しているようで怖くなりジューンの裾をキュっと掴んだ。 「可愛いーー!!弟にしたいわっ」 嫌味を言われるだろうと思っていたルナはまた驚かされる。 ベタベタ触ってきて、尻尾を掴んできた。 「にゃっっ」 乱暴につかまれて少し痛い。 「『にゃっっ』だって!可愛いー!」 はしゃぐマーシャを見て想像していてより悪い人ではなさそうだと思う。 ただ、少しとっつきにくい。 ガチャ、とシノが部屋に入って来たのと同時にマーシャがそちらへ入って行き、ジューンにしたように飛びつく。 「可愛いだろう。でもどんどん綺麗になっていく」 「…はい」 素直に頷けなかった。 当たり前だけど、ルナはジューンに綺麗だなんて言われた事が無い。 いつも可愛い、とは言われるがそれも子供にいうそれのようだ。 ジューンもシノとマーシャの方へ行き楽しそうに話している。 その中に入る勇気もなく、部屋の隅でぽつんと立つ。 (2人ともマーシャさんが大好きなんだ) 時々ジューンがマーシャの頭を撫でる度に湧く嫌な気持ちに気づかないふりをした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |