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ぼくはねこ
6.

「ルナ、おはよう」

「おはよ、ございます」

席に着いたルナはシノとまともに顔を合わせれなかった。
昨日、ジューンと体を重ねた事が鮮明に思い出される。

その行為はとても甘くて、幸せだった。
でもそれ以上に嬉しかったのはジューンが自分を受け入れてくれた事。

勇気を出して良かった。


その日の朝食はルナの大好きなスコーンもあったにも関わらず、ほとんど味を覚えていなかった。


* * *

シノとカイとで湖へ出かける。
釣りをしたり、今みたいに寒いので見ている事が多いが、夏になったらいつも泳ぐらしい。
それが楽しみでならない。

「はやく夏にならないかなぁ」

「そうだな」

それから湖の周辺の木に登ったりして遊ぶが、時々美味しい木の実を見つける事もあり、それを3つに分けて食べる。

「ルナ、今日は変だな」

今日は運良く木の実が見つかりカイの腹にもたれ掛かりながら食べる。

「え?」

「ぼ〜っとしている」

「そ、そんなことないですよ」

実は離れてもジューンの顔が頭から離れないのだ。

(ジューン様と何かあったな)

シノよりカイの方が鋭いみたい。

「……」

黙っているとフッとカイに笑われる。
きっと分かりやすい奴だって思っているに違いない。

「あ、そういえば明日マーシャが来るんだってな」

思い出したように"マーシャ"という名前を口にする。
誰だろう。
聞いたことがない。

「俺たちのいとこ。年に1回会うことにしているんだ」

「そうなんですか」

名前からして女の人なんだろう。
シノ、そしてジューンのいとこ
どんな人なんだろうか、と想像を膨らませる。

(あの女か)

カイが珍しく苛立っていた。
しかもあの女だなんて

「どうしたの?」

(マーシャには1度しか会ったことがないが、初めて会った時に俺の事を化け物呼ばわりして石を投げてきたんだ。)

「えっ大丈夫なの?」

(たいしたことはなかった)

確かにこんなに大きな犬が目の前に現れたら驚くかもしれないけど、石を投げなくても…

少し嫌な気分になってカイと二人で黙り込んでいたら、何もわかっていないシノが慌て出す。

「どうしたんだ?」

「なんでもないです…」

カイが言うな、と伝えて来るところをみると、シノはこの事を知らないのだろう。

「マーシャはいい奴だから仲良くしてやってくれ。確か17歳だったはず」

ルナより1つ上か
仲良くできるかな



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