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ぼくはねこ
4.

「ルナっいつまで寝てるの?起きなさい!」

「っ!」


次の日、セシルに叩き起こされたルナは2階の廊下の掃除を言いつけられた。
渡された朝食のサンドイッチをベッドの上で食べてから2階へ向う。

長い廊下
どこまでも続くみたい
奥の方が暗くて良く見えないほどだ。

「やりがいがありそう」

一見綺麗に見えるけどちょくちょく埃がある。
(お昼ご飯までには終わるかな?)






* * *


「ルナ?」

「は、はい!」

声を掛けられて振り返るとそこにいたのはジューンが立っていた。

「あ、」

驚いた顔をしながらこっちへ近づいてくる。
お、怒られるかも

「ご、ごめんなさい。」

「ずっとここで掃除をしていたのかい?埃まみれになって…」

「あ、あの」

ジューンはルナの顔に付いていたゴミを払ってくれた。

「汚いです」

「大丈夫。綺麗にしてくれてありがとう。でもこんな事はしなくていいんだよ?君もお客様なんだからね」

「い、いえ僕はこんなことしかできないから、せめて」

「うーん、」

困った顔をなさってる。

ジューンの顔を直視出来なくて箒の先の埃を見る。

「そうだ、これを持ってきたんだよ。お昼まだ何も食べていないだろう」

手渡されたのは袋に入っているスコーン。

「ありがとうございます!」

お腹が減ってるのを忘れるくらい集中していたらしい。
今になってから食欲が出てきた。
一つ袋から取り出して口に入れる。

「…おいしい」

自然と顔が緩んでいたみたい。
ジューンも微笑みかけてくる。
本当に優しい人だ。
これまで何回か姉さんに付いて人間に会ったけど、これだけ良くしてくれるのはこの人が初めて。

「私は用事があるからもう行くが、足りなかったら使用人に言えばまた作ってくれるよ」

「はいっ」

ジューンが長い廊下を歩き、見えなくなるまで見届けた

(かっこいい…)

ぼくなんかに優しくしてくれるなんて。

ルナはほっと心が暖かくなるのを感じた。



やっと掃除が終わり、自分の部屋に帰るとベッドの上で足を組んだセシルがいた。
皆、それぞれ2人で1つのお部屋をもらっていて、セシルはとろくさいルナと同室なのが気に食わないらしい。

「ちょっとルナっ今まで掃除してたの?!信じられないくらいノロマね」

「…ごめんなさい」

「これから夕食ですって。行くわよ」

そういってセシルは部屋から出ていった。
ルナに言わず、さっさと自分1人だけで先にいく事も出来たのに、待っててくれたほどにはセシルも優しい所があるのだ。

ベッドにダイブして

(少し休んでから行こうかな)

ウトウトしてきて、何時の間にか寝てしまっていた。



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あきゅろす。
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