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ぼくはねこ
9.



セシルが帰って行った。
シノが来てくれたのもあるけど、帰りの馬車が到着したからだ。

言い足りなそうにするセシルをエマが無理やり馬車の場所へと連れて行った。

「ルナ、ごめん」

娘達の姿が見えなくなったところでシノが振り向いた。

「俺、何か勘違いをしていて、あんな態度をとって…」

何をどう勘違いをしていたのかはわからないが、今朝の事を言っているのだと思う。

「いいんです。僕もごめんなさい」

「なんでルナが謝るんだ」

「だって…」

「ルナは何も悪くない。それに俺はルナと兄さんが結婚する事を本当に嬉しく思ってる。これからルナが弟になるんだから」

その言葉に嘘は無かった。
シノはルナの手を包んでニッコリと笑う。

「ずっと毎日カイと湖に行けるな」



"身体の事を知れば誰でもあんたを嫌いになる!"
さきほどセシルに言われた事が頭の中に響く。

この家の人にはまだ誰にも言っていない。
もし言ってしまったら?
本当に嫌いになる?

そうしたら本当にルナの居場所は無くなる。
言わないでおくことは簡単だが、ずっとこれから隠していくなんて無理だ。

「ぼく、」

ルナは重い口を開けた。





「ぼくー…」



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