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ぼくはねこ
8.

ひらひら蝶が舞う花畑に行く。
相変わらずカイは寝ていて大きなお腹にルナも横たわる。

太陽が照っていてとても暖かい。

小さいルナの体重が乗っても全く起きる様子のないカイ。

息を吸うたび動くカイのお腹に合わせて自分の呼吸も知らないうちに重なっていた。
どんどん瞼が重くなっていく。

ジューンが皆に大切な話をしているのと同じ時刻に、ルナはのんきにお昼寝を始めたのだった。




* * *




「…?!」

次に目覚めたのは手と足が自由をなくした時だった。
状況が瞬時に把握出来ず、理解できたのはセシル達が恐ろしい顔をしてルナを掴み、移動させている事だけだった。




「さっき、ジューン様から聞いたわよ。花嫁はルナにするそうね」

先頭にセシルが立ちその後ろには何人もの娘がいる。

「は、はぃ」

「はいっじゃないわよ!!本当になんであんたなんか産まれてきたの?」

産まれてきた理由なんて自分にあるわけがない。
ただ、それを答えさせる時間も与えずにまくしたてる。

「どうせジューン様はあんたの身体のことなんか知らないんでしょう?汚らわしいっ!子供も産めないのに何が妻よ」

「…っ」

次々と罵声が浴びせられる。
いつ終わるんだろうと思うほど浴びる言葉は尽きない。


聞くところによると、今日でセシル達は村に帰るらしい。
ルナに会うのは今日で最後ということで今までに言えてなかった事を口々に言ってくる。

もちろん会おうと思えば会える。
が、わざわざルナに会いにくるなんて事はまず無いだろう。

「セシル姉さん…」

「呼ばないでっ!あんたが私と血が繋がってるって考えただけで鳥肌がたっ」
「やめろっ」

セシルが手を上げ、ルナの頬を叩こうとしたその時

「何してるんだ!弟をぶつなんてっ」

シノが庇うようにルナの前に立った。


「シノ…」



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