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ぼくはねこ
6.

コーヒーの豆を食べ終わったキナコはベッドから降り、ドアの前まで行ってじっとジューンを見つめる。

もう帰りたいのであろう。
開けてやるとシノの部屋の方へと走って行って見えなくなった。

「私も散歩をしようか」

部屋から出て、庭に出ることにした。
お気に入りの場所は庭で一番大きな木の下。

そこまで行くと珍しく先客がいた。

「ジューン様」

セシルだった。
ルナの姉ということで名前は覚えた。
やはり姉弟ということで顔は似ている。

辺りを見渡すとそこにいるのはセシルだけのようだった。

「セシル」

名前を呼ぶと一瞬でセシルの顔が綻ぶ。

「ここ、私のお気に入りの場所なんです。」

「そうか、私もだ」

木の下で上を見上げると枝にとまっている鳥がピヨピョ鳴いている。
まるで何かを伝えたいかのように必死のようだ。
今度ルナを連れて来ようか。

「ジューン様?」

「ん?」

「あ、いえ、何か嬉しそうな顔をしていらしたので」

「あぁ、あの鳥が何て言ってるのか気になってね。ルナに聞いてみたいと思ったんだよ」

指を指しながら言うと、セシルは途端に顔をしかめた。

「なぜその事を?」

「ん?」

「なぜルナが、動物の、声を理解出来るのを知っておられるんですか?」

嫌悪しているのを隠そうともしないセシルをジューンは不思議そうに見る

「ルナ本人から聞いたよ。本当にあの子は良い子だね」

「……」

ジューンの言葉を聞いてから顔を伏せてしまったセシル。
決心したように勢いよく顔を上げると
「ジューン様、あの子は…!」

そこまで言うと口をまたしても閉じてしまった。

"口にするのもおぞましい"
そう顔が言ってる。

前から思っていたが、この姉弟は少し変だ。
セシルはルナを嫌っているのがわかる。

ただ、他人には触れられたくない部分もあると思うので、何も聞かなかったが…

(それにしてもこの悪意はなんだ?)



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