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ぼくはねこ
5.

静かな昼下がり

ジューンは自室で書類に目を通していた。
手が疲れたところで少し休憩がてらシノにもらった葉でお茶を入れる。

火を付け、水を沸かす音に混じって何かが擦れる音がする。

どうやらドアの向こうからだ。

(懐かれたものだな)

そっと驚かせないように扉を開けるとそこには思った通り小さな訪問者が。

「キナコ」

この前、シノが連れてきたリスは今までに3回ほどジューンの部屋に訪れている。

扉の枠をつたい、ジューンの肩に乗る。

「ここに来ていることをシノは知っているのか?」

中に入りながら聞くとキナコは飛び降り、ベッドの上に落ちた。

何か言ってるような気がするが、あいにくジューンは動物の言葉がわからない。

「ルナだったらわかるんだろうね」

微笑みながらそう言うと、ルナという言葉に反応したのかキナコが楽しそうに飛び跳ねだした。

水が沸騰し、お茶をいれる。
片付けをしている間に、この前キナコが来た時にコーヒーの種を美味しそうに食べていたのを思い出し一粒口元に持って行ってやる。

匂いを嗅いでからかりかりと急いで食べる様子が可愛らしい。

「急がなくていいんだよ」

お茶を片手に尻尾をふわふわと撫でる。

そういえばルナの尻尾も触ってみたいと思いながら機会をことごとく逃している。
ふいに掴んだときにどんな反応をするのか楽しみだ。
悪戯がこんなに楽しみなんてまるで小さな子どもだな、と苦笑する。

キナコが不思議そうに首を傾げて見つめてた。


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あきゅろす。
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