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ぼくはねこ
7.

……!…ナ!

「ルナっ」

「え?」

目が覚めると目の前にシノが立っていた。
周りを見渡すとそこはカイの小屋で、

「どうしてここで寝てたのかは聞かないが、風邪を引くぞっ」

「ぁ、はい」

まだ頭があまり働いていないが、昨日の(今日)の事を思い出して、また涙が出そうになった。

(セシル姉さんにも誰にもここにいる事言ってない)

でもこの前、誰も自分の事なんか心配してなかった。
それならまぁいっか。

「ルナ?どうした?顔色が悪い」

「大丈夫です。カイもありがとう、暖めてくれて」

お礼に大きな顔にキスをした。

(昨日の事は忘れよう。僕が何も言わなかったらこれからも何も変わらないんだ)

自分に言い聞かせるように心の中でそう呟く。

ジューンの見た目よりずっと逞しい腕に抱かれて、触れられた。
それは自分の胸の中に閉まっておこう。

いっぱい拒んだ。
でも何処かで幸せだ、何て思った事はルナ自身も気づいていた。

触れられた所が熱を持っていくあの感覚…
きっとジューンの事が好きだからだ。


(…好き?)

自分はジューンの事が好きなのか?
わからない

でもあの人の顔を思い出すたびに胸が締め付けられる。
こんな感情知らなかった。






知りたくなかった…ー。




(僕はジューン様が好きなんだ…)




「ルナ?」

「は、はい」

「熱でもあるんじゃないか?顔が赤い」

「だ、大丈夫ですっわっっ」

目の前に小さな塊が飛んで来た。
何かと思って剥がしてみるとキナコだった。

怯えるように震えている。

「キナコ?どうしたの?」

(こ、こわい…!)

「何が?」

(あれ!)

キナコの視線をたどっていくとカイだった。
確かにキナコの大きさではカイがとてつもなく大きく見えるのだろう。

「大丈夫。彼は僕の友達だよ」

恐くないよう体を撫でてやる。

(リスか?)
カイがキナコに問う。
相手が怯えてるのがわかる様で、いつもより話す声が優しい。

(う、うん)

(別に取って食おうなんて思わない)

その言葉に安心したのか震えが止まった。

「おい、お前ら。俺を忘れてる、何て事はないだろうな」

会話に入れないシノがへそを曲げた様に言う。

それが可笑しくてクスクスとルナが笑った。




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あきゅろす。
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